こちんぴシネマ
 このコーナーは僕が見た映画・ビデオの感想を書くコーナーです。
 映画館に行く際や、レンタルビデオ店でビデオを借りる際の参考にしてください。
 ちなみにネタバレだ、(#゚Д゚)ゴルァ でお届け。
Movie 49

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲


あらすじ

 春日部の街に突如出現した「20世紀博」。
 オトナたちは昔あこがれたヒーローやヒロインになったり、昔の遊びをしたりとすっかりトリコになってしまうが子供達は全然面白くない。
 そんな中、オトナたちはある日、仕事を放棄し、「20世紀博」会場へ行ってしまう。
 実はケン(CV:津嘉山正種)とチャコ(CV:小林愛)が率いる「イエスタデイ・ワンス・モア」という団体が陰で仕組んだ事だった!!
 ケンとチャコの目的とは?
 そしてしんちゃん(CV:矢島晶子)をはじめとする「かすかべ防衛隊」はオトナたちを元に戻せるのか?

 「クレヨンしんちゃん」の劇場版。
 公開当初から「子供を連れて行った親のほうがハマった」とか「子供と見に行ったのに号泣した」とかいう感想が多数あり、一部評論家や映画雑誌が「2001年邦画ベスト1」に選んだり、「『千と千尋の神隠し』と同様のテーマながらこちらのほうが優れている」(「千と千尋」は見ていないので何とも言えんが)と評価した作品。
 ちなみにゲストとして小堺一機と関根勤が声優として参加。といっても、昔のギャグをやってるのだが。

 今回は「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」。あー、やっと見れたぜ。
 すごく評価が高かったので見てみよう、って思ってから数ヶ月、やっとレンタルビデオ屋でレンタルできたのだよ。
 んで、結論。
 見ろ、お前ら。(特に25歳以上40歳未満なあたりの人々)
 すでにお子様向けアニメの範疇を超えてる、っていうか今回の「クレしん」は明らかに大人向け。
 
 まず最初に来るのは風間君が言うセリフ。
 大人たちが「20世紀博」で過去の思い出に浸って浮かれているのを見て風間君が思わず一言。
 「『なつかしい』ってそんなにいいものなのかな?」
 ・・・。まず、第一のツボ。
 しんちゃん達は5歳なので「なつかしい」って感覚がないのだよ。ところが大人になると「なつかしい」って感情が自分の中で占める割合がいつの間にやら大きくなってるんだよね。
 「なつかしいなぁ」とか「昔さぁ、こんな事あったよねぇ」なーんていう事増えたもんなぁ。
 そして、ある日、ケンとチャコ(またコイツらがどー見てもジョン・レノン&オノ・ヨーコなんだよなぁ)の仕掛けた仕掛けが発動してオトナたちが子供化するのだが、それが怖いのなんの。
 みさえなんて「かーちゃん、お腹空いたぞ、ご飯作れよ!!」っていうしんのすけに無言で長ネギ(無論、生)を叩きつけるように渡すだけだし。
 しんのすけに対して「シッ、シッ」ってカンジで追い払ったり。
 そしてオトナがいなくなった街は強い子供達がコンビニを支配している(すぐに食べれる食材があるため)のだが、オトナがいないから突然ライフライン(電気など)が止まってしまう。
 管理するオトナがいないもの。
 こーいうところが妙に生々しくて、あのキャラたちだけに怖い。
 まぁ、その分、この後に控える子供VSオトナのカーチェイスの破天荒なアニメ的な面白さが引き立つのだが。(なんてったって、シロ(犬)がバスの運転するし。余談だが、このときオトナ側はスバル360で追走。(ケン&チャコはトヨタ2000GT)。そしてスバル360がやたらと打たれ弱いのも見ていてツボ)
 そーいえばケン&チャコがオトナの洗脳に使い、非常にこだわるのが「ニオイ」
 彼ら曰く、「今の世界には昔の世界にあったニオイが無い」ってことなのだが、非常にわかる気がする。
 昔は結構、その街の匂いっていうか、街の個性みたいなモノがあったよなぁ、とまだ25歳なオレですら思うもの。
 んで、第2のツボがそのニオイに関する事。
 ひろしがあるニオイ(これは実際に確認してほしい。非常にクレしんらしいニオイ(笑)なので)で正気に戻るのだが、その演出がすばらしいのだ。
 誰しもが自分の原風景としてもつ風景、それがフラッシュバックされるのだが、冗談でもなんでもなくオレは泣いた。それぐらい感動的なシーン。
 そして最後。
 「全世界20世紀化計画」を発動させたケン&チャコを止める為に野原ファミリーが活躍し、一気にラストに行くのだがそこがまた泣かせる。
 階段を転げ落ち、血まみれになりながらも「みんなと未来(つまり21世紀)を生きたい、いっしょに家族と生活したい」って思いのために走るしんのすけ。
 その姿にまた泣いた。
 そして夢破れて自殺をはかるケン&チャコに対してしんのすけが叫ぶ「ずるいぞ!!」の一言。
 叫んだのはしんちゃんの勘違い(?)からなのだが、「21世紀を生きる事に背を向けることがずるいぞ」ってカンジなんだよなぁ。
 そしてケン&チャコが自殺を踏みとどまったことにより「21世紀を生きる」ってことへの希望をつなぐラスト。
 そこにかかるこばやしさちこ(「クレしん」ではひらがな表記。本業だと「小林幸子」だけど)の「元気でいてね」がまたいいんだ!!
 ヤツは電飾とハデな衣装だけじゃなかったんだね。
 (このアニメでは劇中で70年代の流行歌が効果的に流れる。特にラストでの吉田拓郎の「今日までそして明日から」は反則。泣くちゅーねん。)

 このアニメで秀逸なのがやはりケンの設定だろうね。
 ケン自身は20世紀への愛着は強いが、どこか21世紀への期待というか21世紀を生きる事への望みがあったのでは?と思う。
 でなければ野原一家に「全世界20世紀化計画」を教えないし、その停止方法も教えないだろうし。
 さらに野原一家VSオトナ帝国の模様を中継しないだろうし。
 ケンは「21世紀を生きる希望」を野原一家に託したのではないだろうか?とオレは思う。
 自分の仕掛けたトラップをくぐりぬけた野原一家、そこに彼は失望していた21世紀に対する希望を見出したのではないだろうか?(チャコが終始一貫して20世紀的世界にこだわっていただけにそんな気がする)
 しかし津嘉山正種はやっぱり上手い。
 あの渋い声で「トサカにきたぜ」なーんて言われるとそれだけでうれしくなってしまう。

 このアニメ、結局は「20世紀へのノスタルジーとそれをある意味で断ち切る決意、そして21世紀を生きる決意」がテーマなのだろう。
 つまり20世紀(というか70〜80年代)にドップリな人はツボにはまるんだろうね。
 いろんな映画(無論、実写含む)でこれだけ20世紀、21世紀についてのテーマを明確に書いた作品はないのではないだろうか?
 誰しもが夢見ていて、そしてその夢が思ったほどは現実化されていない21世紀。(オレだって21世紀には車は空を飛んでいると思っていたし、ザクに乗って出社できると思ってたし、宇宙にも簡単にいけるって信じてた。1976年生まれのオレでさえこんなんなんだから、オレより前に生まれた人だともっとそういう気持ちが強いだろうね)
 そんな21世紀を生きるオレ達にはどこか共感する部分がある映画だよなぁ。

 いつもの「クレしん」らしさ(破天荒なアクションとかおバカな演出とか)を求めると物足りないかもしれないが、間違いなく傑作だと思う。(そーいう意味では「電撃!ブタのひづめ大作戦」に通じるある種のザラついた感傷が残る作品)
 ちなみに次回作は戦国時代を舞台としたおバカ作品らしい。それはそれですごく楽しみ。(でも「クレしん」映画って全然製作&配給サイドがチカラ入れてないんだよなぁ。いまだにDVD化はされない(ビデオのみ)し、上映も中途半端な時期(たいていG.W.ごろ。春休みにやるドラえもんや夏休みにやるポケモン、ジブリ作品と比べるとガキの動員に難がある。しかもたいてい「名探偵コナン」とバッティング)だし、製作予算も少ないそうだし、常に映画化中止がウワサになるし)

 結論:何が何でも見ろ。できれば「電撃!ブタのひづめ大作戦」もご一緒に。コレを見ないと一生後悔するぞ!!